井戸工事
-家庭用井戸から大型井戸まで-
井戸の種類
井戸の種類には、一般的に浅い水脈を対象とした「打ち込み式井戸」と深い水脈を対象とした「ボーリング式井戸」があります。
この内、「打ち込み式井戸」は、
① 障害物(地下構造物・岩石など)がある場合、打込み作業ができない。
② 地層が粘土層主体であると取水が困難なケースが多い。
③ 材質が鉄管であるため腐食などにより寿命が短くなり、砂などが流入しやすい。
などのデメリットがあります。
このため、弊社では確実に取水ができ、かつ、将来的な維持管理も容易に行うことができる「ボーリング式井戸」のご提案をさせて頂きます。
事前調査
井戸を設置するに当たっては、事前調査を行い適切な場所に井戸を計画する必要があります。ただし、事前調査により、お客様の要望に沿えるものが得られない場合は、井戸工事をお断りする場合もあります。
事前調査の結果、水量、水質が期待できる場合は、計画位置での地層構成、地下水位の位置、取水区間等について検討を行うためのボーリング調査が必要となります。
井戸掘削工事の流れ
① 設置場所、井戸の用途、必要な水量などについて確認させて頂きます。
② 事前調査で、計画位置の地層構成、地下水位の位置、取水区間、掘削工法、掘削深度等を確認します。
③ 掘削工法は、孔径や土質の違いによりロータリー式ボーリングマシンとダウンザホールハンマ等に分けられます。
ロータリー式ボーリングマシンでは、通常の地盤(粘土、砂、礫)の掘削に適しており、孔径φ40mm~100mm程度が一般的です。
ダウンザホールハンマーは大型エアコンプレッサーによる高圧空気を利用し、圧縮空気による圧力及びハンマピストンの重力で先端ビットに打撃を与え掘削するため、硬質な地盤や岩石の掘削に適しており、孔径φ75mm~100mm程度が一般的です。
④ 掘削が完了すると、取水区間にストレーナ(地下水を呼び込む区間)を設けた塩ビパイプを挿入設置します。
⑤ 塩ビパイプと掘削した穴の間に砂利を充填します。砂利は掘削した穴の崩壊防止とフィルターの役目を果たします。砂利の上には別の水の浸入を防ぐため、止水材(ベントナイト等)を設けます。
⑥ 掘削が完了すると、井戸の能力を確認する必要があります。このため、適切に試験ができるよう、地下水を呼び込む区間(ストレーナ区間)の洗浄を行う必要があります。
洗浄方法には、①地上ポンプによる方法とエアリフトによる方法が一般的です。
【地上ポンプ】
地上ポンプを用いて地下水を汲み上げることにより、呼び込み区間(ストレーナ区間)から、土砂等を地上
に排出する。この工程を何度も繰り返す。
【エアリフト】
リフト管(φ50mm)にエア管を取付け井底まで降下させ、地上よりエアーコンプレッサで圧縮空気を送る
事により、リフト管の中の水は比重が小さくなり、井戸内の地下水を空気と共に地上に噴出する仕組みとな
っています。この時、井戸内の地下水はリフト管先端からリフト管内に急速に流入し、リフト管先端付近の
土砂や砂利を巻き込み、急速度で地上に噴出させ、土砂を地上へ排出する。
揚水試験
洗浄が完了すると、井戸の能力を確認するための揚水試験(段階揚水試験、連続揚水試験)を行います。揚水試験では、試験器具として揚水ポンプと揚水量測定方法(JIS B 8302:ポンプ吐出し量測定方法)に規定されている直角三角せきを用いて水量測定を行います。
事前に確認した最大揚水量を5~6段階に分け、各段階において揚水時に水位が安定するまで原則1時間程度継続して行います。ただし、水位低下量が10分間で10mm以下になった場合は、低下量が安定したと判断し、次の段階に移ります。
段階揚水試験データをもとに、井戸に障害を起こす量となる限界揚水量(これ以上揚水量を増やすと急激に水位が低下する水量です)を確認します。
水道施設指針(日本水道協会)では、限界揚水量の70%以下の揚水量を適正揚水量としています。
水質分析
用途に合わせて水質分析を実施します。試験結果より浄化設備等の設置が必要な場合は、設備の設置について検討を行います。
報告書の提出
地層柱状図、試験結果、井戸構造図、工事写真等をまとめて提出させて頂きます。