わが社の所属する四国地質調査業協会高知支部は、一昨年前から四万十町立十川小学校の防災教育プログラムに協力しています。
防災教育プログラムの詳細はこちら。
去る6月14日、3・4年生を対象とした、土砂災害の基礎をテーマとした学習会が行われました。
四国地質調査業協会高知支部からは、40歳以下の技術者で構成される「若手の会」が講師として参加しました。
学習会の場所は、電子黒板のある4年生の教室。
学習会の内容は以下の3つでした。
(1)土砂災害の基礎(座学)
(2)がけ崩れの実験
(3)土石流の実験
まずは、(1)土砂災害の基礎について、校長先生が前半の講義をされました。
講義では、写真や動画を用いて、地すべり、がけ崩れ、土石流が説明されました。
校長先生は、難しい単語を身近なものに例えたり、クイズを出したり、文章を音読させたり・・・
児童さんたちの様子を確認しながら、丁寧に講義を進めていらっしゃいました。
私も普段の業務で、一般の方に防災のことを説明する機会があるのですが、校長先生のように聞き手をグッと引きつけるような話し方ができるようになりたいものです。
講義の後半からは、四国地質調査業協会高知支部が講義をさせてもらいました。
十川地区に多い土砂災害として、がけ崩れと土石流についての詳しい説明です。
それぞれの災害について、発生する場所、前兆現象、十川のどこで発生するかを講義しました。
校長先生の真似をして、児童さんたちに文章の音読をお願いしてみたところ、とても大きな声で上手に読んで貰えました!
3・4年生は、ちょっと難しい漢字や長めの文章でもすらすら読めるのですね。感心。
座学の後は、土砂災害の実験です。
昨年は、
地すべりを寒天(かたちを保ったまま滑り落ちる)
がけ崩れを豆腐(崩れながら落ちる)
に見立てて、板の上を滑らせる実験を行ったのですが・・・
豆腐が崩れなかったため、失敗してしまいました。
去年の4~6年生のみなさん、ごめんなさい。
今年は、がけ崩れを再現するため、土試料を実験材料に選定しました。
土試料をプラスチックバットの片方に盛り、窪みに水を注ぐと・・・
だんだん水が染み出してきますね。
これが、講義で説明した、湧き水=前兆現象ですよ~。
手前の土試料が崩れ落ちたら、がけ崩れの完了です。
みなさん、砂場で遊ぶ時にもう一度やってみてくださいね。
最後は、土石流の実験です。
実験キットは、国土交通省国土技術政策総合研究所の資料を利用しました。
紙製の「谷地形」に、金平糖の「土石流」を流して
谷の途中に「砂防ダム」がある時とない時との違いを確認しました。
十川地域にも、土石流危険渓流があるけれど、全部の谷に「砂防ダム」が設置されているわけではありません。
「ふだんは大丈夫だけれど、大雨や地震の時は大丈夫かな」と気を付けておくことが大切ですね。
長時間の授業でしたが、先生方、児童のみなさん、若手の会の皆さんのおかげで無事に終えることができました。
授業後の意見交換会では、
・やや難しい言葉でも、別のものに例えれば伝わる
・複数の学年が混在する学習会では、レベルを上級生に合わせるとよい
・土砂災害を過剰に怖がらせるのではなく、共存について学習することも必要
・実験では「楽しさ」だけに流されていきやすいため、メリハリをつける
等の意見が出されました。
今後も、地元の技術者として、四国地質調査業協会高知支部の力がますます期待されていくものと考えられます。
次回:第1回フィールドワーク(7月10日)に続く・・・
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文責:Kamo