高知大学防災推進センターが高知県危機管理部や高知県土木部、県内外の民間企業と合同で結成した災害調査団に弊社も参加しました。
1月の一次調査には中島と宮地が、3月の二次調査には中島と下郡が参加しています。
一次調査は、震災直後の慌ただしい時期で、輪島市や珠洲市で行方不明者の捜索活動が続いていたため、七尾市付近までを北端として災害調査を行いました。現地では、斜面や盛土の被害を中心に視察し、のと里山海道の谷埋め盛土の崩壊や、七尾市の斜面崩壊と河道閉塞の状況を調査してきました。
二次調査では輪島市まで北上し、地すべりや斜面崩壊を中心に視察しました。白米千枚田(地すべり地)や海岸沿いの大規模な斜面崩壊の状況も調査してきました。途中、のと里山海道を通りましたが、一次調査時の不通区間が片側通行ではあるものの通行でき、少しずつ復旧作業が進んでいることを実感することができました。
金沢市では地震の影響はほとんどなく、多くの方々が日常生活を送っているようでしたが、のと里山海道を北上すると地震の爪痕が未だ癒えてないと感じました。視察できた範囲はほんの一部でしたが、のと里山海道は複数箇所で谷埋め盛土が崩壊し、輪島市周辺では海岸沿いの地すべり地で大規模な斜面崩壊が発生する等、多くの箇所で通行止めが継続していました。また、輪島市では揺れによる家屋の倒壊に加え、液状化で傾いた家屋が散見されました。
南海トラフ巨大地震では、大きな揺れで家屋等が被災した後、平野部は津波に襲われます。また、輪島市のように火災が発生する可能性もあります。山間部では、斜面崩壊により道路の通行が困難になり、能登半島のように孤立する集落も多数発生することも指摘されています。高知県では能登半島以上の甚大な被害が発生する可能性があることを考えると、今回の調査を教訓にインフラ耐震化やハード対策の充実を図ること、地域コミュニティの強化や避難訓練が重要であることを再確認しました。また、社員の防災対策や会社のBCP計画のレベルアップが喫緊の課題であると感じました。
先日、能登半島地震の取材で訪れていた高知新聞の八田記者に取材を受けました。その際のやり取りが高知新聞に掲載されました。以下にその一部を抜粋します(中島)。
高知市の地質調査会社「地研」は1月と4月、調査のため同県輪島市などに技術者を派遣した。2度とも現地入りした中島昇さん(48)は限られた範囲の調査だと断った上で、「斜面下部の切り土などによって、地盤を支える力が弱った部分で地滑りが起きていた。谷を埋めた盛り土部分で崩壊が発生していた」と報告する。
能登半島に比べ、高知の地盤は総じて古くて固いという。ただ、「山間の道路や施設は急勾配の施工が多く、風化や亀裂で弱くなっている地盤がある」。
本紙が撮影した珠洲市若山町の地滑りについては「滑り落ちた土砂が、地下水と一緒に土石流状態で流れたように見える。震災時の能登半島は地下水位が高い状態で、地滑りを誘発したのだろう」と分析。「高知でも同様の現象が起こり得る」とした。
(八田大輔記者)