十川小学校防災教育プログラム

わが社の所属している「四国地質調査業協会高知支部」は、四万十町立十川小学校の防災教育プログラムのお手伝いをさせていただいています。



十川小学校は、四万十川上流域に位置する、生徒数66名の小さな学校です。
生徒さんや教職員さんは、四万十川やその支流沿いに点在する集落から
山沿いの道を通って、毎日通学・通勤をしています。




山と川に囲まれた通学・通勤路は、美しく豊かな自然を身近に感じることができる反面、
斜面災害が起こりやすいというリスクも抱えています。
斜面災害が発生しそうなとき、斜面災害に直面したとき、斜面災害で生活路が遮断されて孤立したとき・・・
「どのように対処していくか」、「どこでどんなことが起こるのか」を学ぶ授業が「防災教育プログラム」です。




この防災教育プログラムには、
学校関係者、地域の方々、自治体関係者、一般企業等、多くの方が関わっています。
われわれ地質調査業協会は、地質や土木のアドバイザーとして

1.斜面災害学習会(5月30日)
2.第1回目土砂災害に関わる授業(6月15日)
3.第2回目土砂災害に関わる授業(7月13日)


に参加させていただきました。



5月30日の斜面災害学習会は、教職員さんや地域の方々を対象とした大人向けの勉強会。
教室に設置された電子黒板を使用して、
地質調査業協会が、斜面災害の基礎について講師をさせていただきました。



お話した内容は以下の4項目。

1.斜面災害の事例
2.斜面災害のメカニズム
3.斜面災害はどこで起きるか
4.豆知識(地名や言い伝えの検証)

普段は専門家同士でお仕事をしている地質調査業協会。
今回は一般の方にもわかるように、言葉や画像を工夫して学習会に臨んだのですが・・・
講習後の質疑応答で
「斜面災害の起こりやすい場所を授業で教える際、どのようなところを見ればよいか」
というご質問をいただいたいたことから、教育現場で活用する
という視点が欠けていたことがわかりました。
このことは今後の活動に活かしたいと思います。



6月15日の「第1回目土砂災害に関わる授業」は、4~6年生を対象とした授業でした。
地質調査業協会が5月に作成した資料を元に、教員の方々が「土砂災害の基礎」について説明されました。



ひとに何かを説明するときは、つい「あれもこれも説明したい!」と思ってしまい、
ひとつのページにたくさんの情報を詰め込んでしまいがちですが
教育のプロがまとめた説明資料は、とてもシンプル。
伝えたいことが一目でわかります。
また、資料に数値が出てきた時は、算数の問題を出したり、生徒さんがイメージしやすいような表現を使ったりしていらっしゃいました。

教員「この岩は○mあります。○mは、何cmかな?」
生徒「△cmです。」
教員「正解。△cmは、□年生の身長くらいだよ。」

具体的な数値を見たら「わかった」つもりになって聞き流してしまうところですが
身近なものの大きさと比較すると理解が深まるのだということがよくわかりました。



教員の方々の説明の後は、寒天豆腐をプラスチックの板の上で滑らせる実験を行いました。

寒天⇒かたちが崩れにくい⇒塊が斜面を移動する⇒地すべり
豆腐⇒かたちが崩れやすい⇒崩れながら落ちる⇒がけ崩れ

と考え、地すべりがけ崩れの違いについてイメージを持ってもらうつもりでしたが・・・



寒天も豆腐も崩れずに移動してしまい、失敗に終わってしまいました・・・。
そのため、今回は
雨が降ると斜面災害が起こりやすくなること
地震で斜面災害が起こりやすくなること
をイメージしてもらうため、水をかけたり揺すったりした時に
寒天や豆腐が移動しやすくなったことを確かめてもらいました。

今回は準備不足のためにご期待に沿えるような結果を出せず、生徒さんや関係者の方々に申し訳なく思っております。
来年度は成功させるよう、材料や道具、説明方法等を吟味していきます。



実験の後は、災害時を想定した「クロスロードゲーム」を行いました。
このゲームでは、雨が降っている時に迷ったり、困ったり、悩んだりすることを考えます。
そして、そのときに助かるためにはどうすればよいのかふたつ答えます。
たとえば

「いつ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夜中に
「どこで」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自宅で
「だれが」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自分と家族が眠っていると
「なぜ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・急に雨が強くなって
「なにが/を」・・・・・・・・・・・・・・・・裏の山から木が折れる音がしてきました
「どうする」・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)大人が気にしていないから大丈夫!朝まで寝る
                       (2)家族を起こして避難所に逃げる

このような問題を作って、自分ならどうするのかをみんなで考えます。


川で遊んでいる時、通学時・・・いろいろな状況を想定して、それぞれの考えを答えてみましたが
もちろん全員が同じ答えを出すことはありません。
このように、災害時の対応については必ず正解があるとは限らず、誰もが誠実に考えて対応することが大切です。
そのためには、災害が起こる前から対応を考えておくということが必要ですなのですね。
生徒さんのゲームを通して、われわれ大人たちも改めて認識することができました。



「第2回土砂災害に関わる授業(7月13日)」につづく。



(文責)Kamo



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